屋根の設計で重要な事は、最初の段階から雨の漏れにくい家を設計する事ではないでしょうか。
屋根のリフォームでお伺いするご自宅の屋根を見ていますと、どうも雨水を受ける箇所が多すぎるような設計をした建物がよくあります。屋根の流れ、軒先、勾配などを工夫すれば
雨が漏れなくて済むはずなのに、外観のデザインばかりに重点をおいてしまっているようです。現場の板金職人がどのように納めたらいいか苦労するような建物は、雨漏りなど何らかの欠陥が内在してしまいます。
設計者の方々には、現場でうまく納めるように対応しなさいという考えをお持ちの方も存在しているのが現状です。お客様の視点に立って長期間リスクの少ない家づくりを心掛ける事が賢明ではないでしょうか。
雨仕舞いを考慮した屋根の設計が必要
壁に向って屋根勾配をとらない屋根形状にしなければなりません。
下屋と外壁との取合いは特に重要で、雨水は外部に排出する施工が必要です。
納まりに必要な寸法を確保
長尺谷を屋根に設ける形状では、450以上の屋根幅を設計しなければなりません。
屋根勾配は流れ方向に対して同勾配にする必要があり、勾配を変えてしまうと瓦とガルバリウム鋼板を使用する事になります。屋根の頂点(棟)から軒先方向へ設計して、雨水を建物外に排出させなければなりません。
軒の出による建物への影響
現在の建物の構造はデザインを重視している設計が多く、屋根の軒の出を取らない形状が増えております。材料費、手間費も抑えられますが、建物本体には天候の影響を受けやすいでしょう。
外壁の痛みも早くなりますので、外壁のリフォーム時期も自ずと早くなります。
30年前の屋根の軒の出は約60㎝を確保していたため、雨水の外壁に吹き込みを抑止しておりました。
30年前の屋根軒先メリット
1.窓から直射日光を遮るために、室内の高温化を妨げられる
2.冬は太陽の高さが低いために、日光を室内まで取り込められる
3.雨水が直接窓や外壁に当たらないために、汚れや埃が付きにくくなる
4.屋根の軒先からの雨水が外壁面に伝わり、室内に侵入することがなくなる
5.軒先や天井からの換気が十分に取れて、屋根裏の湿気を防げる
30年前の屋根軒先デメリット
1.強風や台風では吹き上げる風に影響を受ける
2.大雪では軒先にかかる負担が大きくなる
3.建物に対して屋根が大きくなるために不安定な構造にもなる
4.材料費、人件費が高額になる
5.室内の面積が狭くなる
30年前の軒の出 設計
軒の出がない設計