笠木の語源は、鳥居の2本の縦の柱を渡す一番上の横木「冠木(=笠木)」だと考えられています。住宅ではベランダの
手すり上部の金属部分ですが、木造の新築物件ではアルミ製のフタ状の材質が多く使われています。屋根でも笠木があり、山の頂点にかぶさっている部材として笠木とか、棟包みとも呼ばれております。
また、屋根の上り箇所の納めにも笠木(ケラバ包み)を使用して施工する場合もあります。
屋根材の立上げ箇所仕上げ材として、約330mmほどの加工した材料(棟包み)をカバーのようにつけることで雨水の侵入を防ぐ役割があります。
接合箇所や釘穴からの雨水の侵入
下記の画像は利府町青山にある店舗の建物で起きた雨漏り事例です。鉄骨造2階建て、1階部分が店舗で2階が住居。屋根は切妻でガルバリウム鋼板の段葺きが葺かれています。屋根の上り部分には、金属製の笠木が取付られていましたが、その笠木から侵入した雨水は下地材を伝わって1階の店舗トイレの天井まで流れていき、雨漏りとなった。
笠木を撤去すると、ぼろぼろとなったアルファルトフエルトや透湿シート、腐食した下地
の木部が出てきたのです。
笠木は下地の木材に
真上から釘を留めていて、勾配がなく平らなので雨水が溜まりやすい状況
でした。溜まった雨水は、釘穴や接合部から侵入して下地の木部を腐敗させて雨漏りを発生
させたと推測されます。
雨仕舞いの施工方法
笠木の箇所は雨水の侵入箇所でも危険性が高い部類に入ります。そのため、慎重に施工しなければなりません。例えば、笠木の幅が広い構造では、下地で勾配を取って平らにならないようにしたり、接合箇所を重ねる場合には重ね幅を100mm以上取り、シーリングを充填させなければならない。接合箇所に
真上から釘を留める施工は雨漏りの原因となります。
二段の木下地で雨水を屋根面に流す
仙台市青葉区川平のS様のご自宅屋根にある笠木の腐敗状況。笠木の幅が
200mm以上あるため雨水がジョイント部に溜まっておりました。1階北側にある
窓枠まで雨水が浸透しています。
15×45mmの木材で
勾配を屋根側に取り、その上に24×240mmの木材を取付
します。