屋根板金工事の大まかな流れとしては、下葺き材の敷き込み、軒先唐草取付、墨出し、長尺谷の納めがあり、全ての段取りをした上で屋根材の荷上げをして一枚一枚屋根材を葺いていきます。屋根葺きが完了した後に棟包みやケラバ包みの施工になります。
特に長方形ではない寄棟の形状をした屋根には長尺谷と言われる部材を使用する事が多く、瓦、コロニアルなどの屋根材に関係なく、一枚物の長さで幅約600mmのガルバリウム鋼板を加工して取付します。雨水は屋根の棟から軒先に向かって流れ唐草に伝わって雨樋に流れ込みますが、その他にも、
雨水が集中して集まってくる凹んだ箇所が存在して、それが谷であり雨樋の役目をしてます。どうしても雨水が溜まりやすいので、ガルバリウム鋼板も傷みやすく棟との取合いもあり施工の技術が必要となります。
瓦から垂れた滴による谷の腐食
長尺谷は、雨仕舞い上ウイークポイントになりやすい部位です。勾配の異なった屋根や流れ長さが極端に違う箇所の谷には雨水が集中して、横方向からの風が吹いたりすると雨漏り
が起きたりします。谷には銅板の材料が使われていたりしますが、瓦屋根からの雨垂れにより長い年月をかけて穴が開いてしまいます。銅板は軟らかいために加工はしやすいのですが、
瓦屋根からの水滴の水圧には弱いのです。また、湾曲した瓦の形状の部分に下や横方向からの風が吹くと雨水が浸入しますので取合い箇所の納めが重要です。谷の修理は瓦を部分的に撤去すれば可能ですが、既存の瓦との納めもあるので大変な屋根工事でしょう。
瓦棒屋根にある谷の修理方法
緩やかな勾配に葺く瓦棒屋根にも谷がある場合もありますが、どの現場でも雨水が至る所に溜まっていて錆ています。凹んでいるので
泥や枯葉、ゴミの逃げ場が無くなって雨水を吸い上げてしまい、台風や大雨時に雨水が溢れて室内まで侵入し雨漏りしています。谷の納めを重点的にすれば侵入する事は防げます。しかし、谷の加工方法が間違っていたり、ガルバリウム鋼板の谷捨て部分に釘やビスを真上から打ったりしているのが多く、谷納めで折り込んだ箇所をシーリング材で隙間を埋めたりする施工まであります。瓦の修理と違って、ガルバリウム鋼板で葺かれた谷の修理は、屋根材を全面的に撤去する必要があるため施工手間がかかるでしょう。