日射を猛烈に受ける真夏の屋根表面温度は、屋根材の色や種類、風によって誤差はありますが、約80℃近くになって夜は30℃以下まで下がり温度差は約50℃にもなります。
この温度変化を受けてガルバリウム鋼板は
気温の上昇と共に膨張して、下がると収縮します。特に午前中の10時頃、気温差が激しくなる時に音を出して屋根材は伸びたり縮んだりします。銅板は熱の伝導率が高いので、伸縮すると屋根面が波打ったりハゼが切れたり曲がったりして雨漏りや飛散の可能性があります。一方では、一般住宅で採用されるガルバリウム鋼板は銅板に比べれば熱伸縮が少なくて被害もあまりないですが、ポンポンとした音鳴りが気になる方がいるようです。
熱伸縮は金属の特性であり避けられない問題ですが、熱伸縮しても影響がない屋根材を選択することで解消されます。
伸縮によるあばれ現象を防ぐ屋根工事
ガルバリウム鋼板の継手部分をエキスパンションとする定尺工法があります。継手部分はキャップをするカバー式やハゼ組み等様々ですが、継手下部に
捨て防水板を入れる施工方法があります。
継手より侵入した雨水を下段の葺き板の上に排出する役目をしてます。
屋根材の素材はもちろんですが、製品の長さや隙間が適正であるかを確認して屋根工事をしなければなりません。
長尺物の立葺きは熱伸縮の影響を受けやすい、その原理とは
切妻屋根の立葺き(瓦棒葺き、立平葺き)では棟部で約55mm立上げ加工をして、軒先では17mmほど軒先唐草に軽く掴みこみをして仕上げます。水上と水下で材料が抑えられるために、太陽熱によって伸びた金属の歪みで455mm間隔の屋根材の中心部に浮きが生じて少々持ち上がります。一枚一枚の屋根材は吊り子により垂木に455ピッチで固定されるので熱の伸縮によって飛散はしません。しかし、キッチンで食器を洗っている時にお湯がシンクに流れた時に出るようなボコッという音が鳴ることがあるのです。立葺きでの施工では棟頂部から雨樋方向まで一枚の板で成型加工するので、長さが長ければ熱伸縮も大きくなります。勾配の緩い屋根に採用される立葺きは、屋根の中心付近で連結すると雨漏りの可能性も出てくるので、長尺物で施工しなければなりません。
音鳴りを減少させるためにはガルバリウム鋼板の材料に伸びを吸収する緩衝部をつけて、
振動を伝わりにくくすれば緩和されます。成型時に
溝板に筋ラインをつけることで伸縮時の伸びを吸収させ、ボコッという音鳴りがしにくくなります。