建物の第一印象を決定する大切な要素は「屋根」ではないでしょうか。
外壁は建物の外観に沿って作られるので、直線の四角形にならざるを得ませんが、
屋根は勾配、形状、2階建てか平屋建て、面積など室内の形状
に関係なく多数の選択の幅があります。
上記は宮城県塩釜市にある建物ですが、あまり見かけない形状の曲面が連続した屋根で、まさにその土地に何かを語り掛けている雰囲気がします。
屋根が「建物・その街の顔」となることは紛れもない事実です。
人間の顔で第一印象を決めるのは「目」ですが、その目は建物では軒先なのです。
軒先は出幅や高さ、長さなどに変化をつける事で建物のデザインが変わります。
下記は宮城県仙台市宮城野区にある住宅地にある建物の屋根ですが、
軒先が地面と水平ではなく、屋根が片流れのひし形になった特殊な形状です。
雨水はひし形先端に屋根全体の
雨量が集中してきますので、大雨や台風を伴った雨では
溢れてしまい、外壁側にも跳ね返ってきているのです。
また、屋根の形状によって建物内の部屋の大きさも左右されます。
建物の顔となる屋根の表情、そして表情から形成される人格の大きさがまさに建物では空間に位置づけられるのです。表情と空間が同時に決定される屋根は、建物を建てる時
に一番初めに設計対象とされるべきです。
下記は仙台市泉区にある病院の建物ですが、雨水が谷部分に集中して流れきて
雨樋
で受けきれなくなっており、雨樋自体にも雪が溜まっております。
患者さんが病院に入る前に雨水で濡れてしまうでしょう。
人間では顔となる大切な屋根ですが、空間としての
間取りよりも先に優先事項として設計される事はないようです。木造在来工法、その他の工法に関わらず、どんな空間作りをしても屋根はそれに合わせて自由自在に設計されてしまいます。
私たちの暮らしを守っていく屋根であるはずなのに、つい「ちょっとまった」「後でにしよう」と優先事項が下げられております。
下記は利府町にある建物の屋根ですが、切妻屋根が両サイドにあり中心部には
2つの谷がある屋根形状です。外観は屏風形にデザインされており、
中央付近の屋根は台形の形状、勾配が緩くなっていて軒先から1mの箇所に
雨が溜まって、
雪は互いに衝突しております。